整備工場の勤務表(シフト)の作り方|整備士・受付の必要人数と土日のそろえ方
整備工場の勤務表は、「曜日ごとに整備士・受付の必要人数を決める」→「スタッフごとの勤務条件を並べる」→「希望休を入れる」→「足りない日を直す」の順に作ると、組み直しが減ります。 先に必要人数を決めておくことが、いちばんの近道です。 この記事では、手順と、土日・繁忙期の考え方、勤務表で押さえておきたい労働時間・休憩・休日の決まりをまとめます。
勤務表づくりで手間がかかる理由
勤務表に時間がかかるのは、条件が人ごとにばらばらで、しかも曜日と時期で忙しさが変わるからです。
- 土日はお客様が多く、整備士を多めに置きたい
- 正社員の整備士は週休 2 日、パートの受付は平日の午前だけ
- 検査員の資格を持つ人が、車検の日にいないと困る
- タイヤの履き替えの時期は、休みを減らしたい
- 希望休が月の半ばに口頭で届く
これを頭の中で組み合わせ、さらに「この 2 人が同じ日に休むと回らない」といった事情も考えます。条件を書き出さないまま組むと、毎月同じところで悩むことになります。
手順 1:曜日ごとの必要人数
最初に、平日・土曜・日曜ごとに、整備士と受付の必要人数を決めます。予約の入り方とピットの数から逆算するのが確実です。
| 曜日 | 整備士 | 受付 |
|---|---|---|
| 平日 | 3 | 1 |
| 土曜 | 4 | 2 |
| 日曜 | 4 | 2 |
(数は例です。ピットの数と、同時に進める作業の数から決めます。)
ポイントは次の 2 つです。
- ピットの数と合わせる:ピットを 4 つ同時に動かすなら、その時間に整備士が 4 人要ります。
- 最低人数と、いると助かる人数を分ける:最低人数を割る日だけを「人が足りない日」とすると、直す順番をつけやすくなります。
手順 2:スタッフごとの勤務条件の書き出し
次に、スタッフごとの条件を一覧にします。
| スタッフ | 役割 | 雇用 | 毎週の休み | 時間の条件 | 週の上限 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 整備士(検査員) | 正社員 | 水・木 | なし | 5 日 |
| B | 整備士 | 正社員 | 火・水 | なし | 5 日 |
| C | 整備士 | パート | 月・水・金 | 午前だけ | 3 日 |
| D | 受付 | パート | 日 | 15 時まで | 4 日 |
雇用契約で決めた曜日・時間・日数をそのまま書きます。ここを口約束のままにしておくと、勤務表を作るたびに確認が要ります。
手順 3:希望休の反映
希望休は、締め切りと出し方を決めて集めます。
- 毎月の締め切り日を決める(例:前月の 10 日)。
- 出し方を一つにする(紙の申請表か、スマホからの申請か)。
- 締め切り後に勤務表を作り、確定日を伝える。
口頭やメッセージで届くと、書き写しの漏れが起きます。土日の希望休が重なりやすい店舗では、「土日の希望休は月に何回まで」と先に決めておくと、調整で揉めにくくなります。
手順 4:足りない日の確認と調整
条件を入れて組んだら、日ごとに必要人数と見比べます。足りない日は、次の順で直します。
- パートのスタッフに、勤務日の入れ替えを相談する。
- 希望休が重なっている日は、決めたルールで調整する。
- それでも足りない日は、予約の枠を減らす(ピットを 1 つ閉じる)。
予約の枠を減らす判断は、予約が入りすぎる前に、早めにします。
土日と繁忙期の人の置き方
整備工場やタイヤショップは、土日と季節で忙しさが大きく変わります。
- 土日の勤務回数を数える:月ごとに一人ひとりの土日の出勤回数を数え、特定の人に偏らないようにします。
- 繁忙期は前もって決める:冬タイヤ・夏タイヤへの履き替えの時期は、何月何日から何日までを繁忙期とするかを先に決め、その間の休みの取り方をスタッフと共有します。
- 繁忙期の後に休みを返す:繁忙期に休みを減らしたなら、落ち着いた時期にまとめて取れるよう、勤務表に入れておきます。
時期によって労働時間を調整したいときは、1 か月単位の変形労働時間制のような仕組みもあります(労働基準法 第 32 条の 2)。就業規則などで定める必要があるので、使うかどうかは社会保険労務士などに相談して決めます。
勤務表で押さえておきたい決まり
勤務表は、労働時間・休憩・休日の決まりの中で組みます。主なものを条文と合わせて整理します。
| 決まり | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 休憩を除き、1 週 40 時間・1 日 8 時間を超えて働かせてはならない | 労働基準法 第 32 条 |
| 休憩 | 6 時間を超えるときは 45 分以上、8 時間を超えるときは 1 時間以上 | 労働基準法 第 34 条 |
| 休日 | 毎週少なくとも 1 回、または 4 週を通じて 4 日以上 | 労働基準法 第 35 条 |
| 時間外・休日労働 | 労使の書面の協定(36 協定)を結び、届け出た範囲で | 労働基準法 第 36 条 |
常時 10 人未満の労働者を使う商業(物品の販売など)や保健衛生業などの事業場は、1 週 44 時間まで働ける特例があります(労働基準法施行規則 第 25 条の 2)。この特例は、物の修理などの事業(労働基準法 別表第一 第 1 号)には当てはまりません。整備を主とする店舗か、タイヤやカー用品の販売を主とする店舗かで変わることがあるので、迷うときは労働基準監督署に確かめます。
また、常時 10 人以上の労働者を使う場合は、始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇などを就業規則に定めて届け出る必要があります(労働基準法 第 89 条)。
予定と実際の時間の記録
勤務表は予定です。実際の始業・終業の時刻は、別に記録します。厚生労働省のガイドラインは、使用者が労働日ごとの始業・終業の時刻を確認し、記録することを求めています(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)。 作業が延びやすい土日は、勤務表の終わりの時刻に余裕を持たせておくと、記録と予定の差が小さくなります。
勤務表に入れる有給休暇
年次有給休暇は、6 か月継続して勤務し、全労働日の 8 割以上出勤した人に 10 日与える決まりです(労働基準法 第 39 条)。年 10 日以上与える人には、そのうち 5 日を 1 年以内に取ってもらう必要があります(厚生労働省「年次有給休暇の時季指定」)。繁忙期を外して、勤務表に有給の日も一緒に入れておくと、取り忘れが防げます。
毎月の作り方の決まり
- 前月の 10 日:希望休の締め切り
- 前月の 15 日:勤務表の案を作る
- 前月の 20 日:足りない日を調整して確定
- 確定後:スタッフに共有し、予約の枠を調整する
条件の一覧と毎月の流れを残しておけば、作る人が休んだときも代わりの人が作れます。
よくある質問
勤務表は誰が作るのがよいですか?
店長が作る店舗も、事務やフロントのリーダーが作る店舗もあります。誰が作る場合も、必要人数と勤務条件を書き出しておけば、引き継げます。
繁忙期に休みを減らしてもよいですか?
休日の決まり(毎週 1 回、または 4 週で 4 日以上)と、36 協定の範囲の中で組む必要があります。繁忙期の休みの取り方は、早めにスタッフと話し合って決めます。
勤務表を作ったあとに変更が出たら、どうしますか?
変更は必ず勤務表に戻して記録し、本人に伝えます。予約の枠にかかわる変更なら、受付にも同時に知らせます。
パートのスタッフにも有給休暇はありますか?
あります。週の所定労働日数が少ない人には、その日数に応じた日数を与える決まりです(労働基準法 第 39 条)。具体的な日数は、労働基準監督署や社会保険労務士に確かめてください。
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